令和2年度 里親シンポジウムin東大阪♪
10月18日(日)、布施駅前リージョンセンター「夢広場」にて、『里親シンポジウム地域集会』が開催されました。
コロナ禍のなか、開催自体が危ぶまれましたが、受付では検温と消毒、ホール内では間隔を空けて座っていただき、飛沫防止シートも設置して感染予防に努めました。例年にない状況でしたが、無事に開催に至り安堵いたしました。
東大阪市長野田様におきましてはご多忙のなか会場までお越しいただきまして、子どもの健全な成長を支える里親さんへの激励と、里親会の発展を祈念し心温まるお祝辞をいただきました。
本当にありがとうございました。
開会のあいさつの後、まずは東大阪子ども家庭センターの里親担当より、社会的養護や里親制度についての説明がありました。
その後、はぐくみホーム(養育里親)をされている里母の体験談を聞かせていただきました。
ご両親が里親登録をされたことで、実家にいる里子のお世話をしたり、一緒に遊んだりしていたそうです。里親として里子と共に生活する様子を間近で見てこられたこともあり、また、両親の元で変わらない環境のなか日常を過ごせる我が子と、大人の都合で環境がいつ変わるかわからない社会的養護の子どもとの違いを実感し、家庭という環境を子どもに提供しようとご夫婦で里親登録をされました。
初めての委託、赤ちゃんの養子先のお父さんとお母さんを家に迎えて実習したこと、その親子と今でも交流があり、赤ちゃんの成長の様子を聞かせてもらっていること、両親が養育した子どもたちとの繋がりなど、様々な経験を語っていただきました。
その中で、思いがけず11年という長い年月を共に生活することになったKくんが、母親の元に帰るまで(家族再統合)の話は、Kくんへの思いと尽きることないネタに溢れた内容でした。
出会いは4歳。3ヶ月預かって欲しいと子ども家庭センターから依頼があり面会したそうですが、初対面の印象は「手強そうやな…」だったそうです。その後の外出で自宅に連れて帰りましたが、別れ際そのKくんが大泣きしたのを見て、こんな思いを二度とさせたくないと思い、委託の手続きを急いで欲しいとセンターにお願いされました。
委託後のKくんは発達障害が疑われる状態で、交通事故や怪我などがとても心配で目が離せませんでしたが、3ヶ月と思っていたので何とか頑張れたとのことです。しかし、引き取るはずの母親の状態が改善されず、結局高校に入学するまで育てることになります。
ネグレクトで基本的な生活習慣が身に付いておらず、”朝は布団から出て起きる”ということから教えました。できて当然という大人の価値観を押し付けず、根気強く何度も繰り返し教えていきましたが、乳幼児期の生活環境が子どもの一生を左右する、本当に大切な時期であることを改めて実感したとのことです。委託中も母親と祖母との面会は定期的に行っており、少しずつですが母親の意識も変わり始め、なにより母親と祖母との生活を強く望んだKくんの気持ちを尊重して、高校入学と同時に家庭へと戻って行きました。
はぐくみホームに子どもとのお別れは付きものです。色んな特質や背景を持った子どもたちを育てていく中で、適切な養育ってなんだろう?里親っていったいなんだろう?と考えるようになったそうです。子どもと離別することになった親を責めたところで、適切な養育ができるようにはならないし、預かる里親も完璧ではありません。また、受け入れた子どもの人生に最後まで責任を持つこともできません。子どものルーツを尊重し子どもの長い人生の一部分を、里親という手を借りてそのときを乗り切ったということではないか、背負い過ぎず、もっと謙虚に、里親を細々と続けていけたらいいなと思っています、という言葉で締めくくられました。
今年の体験談は、里親とコーディネーターの対談方式(徹子の部屋方式)で行われ、要所要所で質問に答えていただくことで、初めて体験談を聞く方にとっても、とても分かりやすかったのではないいかと思います。制度の理解を深め、里親と子ども様子がよく伝わり、ときにクスリ、ときにホロリとしながら、あっという間に時間が過ぎました。
その後の分科会は5つのグループに分かれて、体験談の感想やふたば里親会の里親さんへの質問など、どのグループも話題が尽きることなく、様々な意見が出て時間が足りなかったぐらいでした。
コロナの影響もあったのか、今年の参加者が例年に比べ少なかったのですが、本当に充実したシンポジウムを開催することができました。参加してくださった皆様、ご協力くださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
一人でも多くの子どもたちが、温かく幸せな未来を夢見て過ごせることを願っています。
アリオ八尾や東大阪市役所で定期的に相談会を行っております。どうぞお気軽にお越しください。
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